2017/05/14

⑩ 勝ち切る(2回勝つ) win twice

守る→相手がシュートミス
これで防御側の勝ちか?

攻める→シュートを外す
これで攻撃側の負けか?

攻撃側がシュートミスしてくれても
そのオフェンスリバウンドを取られたら再び防御側に回らされる

攻撃側がシュートミスしても
そのオフェンスリバウンドを取れば再び攻撃側に回れる

だから
攻撃側のシュートミスではまだ防御側の勝ちは確定していない
攻撃側のシュートミスではまだ攻撃側の負けも確定していない

シュートを失敗させるだけでは確定しなかった防御側の勝ちも
そのリバウンドを取り切って初めて確定する

そんな当たり前のことを考えると
「勝ち切る」ってことの意味や大切さや隠れていた勝機が見えてくる

じゃあ
ディフェンスリバウンドを取り切ったら防御側の勝ちが確定か?

そうとも言えない

「ディフェンスリバンドを取った!」と思った瞬間のボールを
スティールやダブルチームで奪うことができれば
攻撃側はまだ勝ち側に回る機会を得ることができる

「リバウンドを取った!」って安心して
不用意にアウトレットされたボールや
不用意についたドリブルを奪うことでも
一瞬で攻撃と防御を入れ替えることができる

「シュートを決められた!」って慌てたりがっかりしたりして
不用意にインバウンドされたボールや
不用意にレシーブされたボールを奪うことができれば
一瞬で2回目の勝ちを得ることもできる

ドリブルで自分のディフェンダーを「破った!」って思ったドリブラーを
次のディフェンダーが奪ったり
ヘルプに動いたディフェンダーを見て「アシスト!」って思って投げたボールを
次のディフェンダーが奪ったり

「勝った」と思う「もう一つ先まで勝ち切る」こと
「負けた」と思う「もう一つ先で勝ち切る」こと

そういった「もう一つ先の戦い」まで
日々の練習の中でどこまで追求していけるか

そんな「しつこさ」「しぶとさ」「抜け目なさ」は
持って生まれた先天的な力ではなく
日々の練習の中で鍛えることができる後天的な力だと思う

近代バスケットボールの勝負は一回きりの戦いで決まるほど単純で淡白なものじゃない

バスケットボールは習慣のスポーツ
ゲームでは「いつも通り」のことしかできない

2017/05/12

⑨ ニュートラルボール neutral ball

バスケットボールには攻撃局面と防御局面の2局面がある

基本的にはどちらかのチームが
「ボールを保持している間が攻撃局面」になり
「ボールを保持していない間が防御局面」になる

したがって
「ボールは常にどちらかのチームに保持されている」って思ってしまう

でも
「ボールがどちらのチームにも保持されていない瞬間」はゲーム中に案外沢山出現している
「シュートが外れてボールが空間に浮いている瞬間」や
「ファンブル等によってボールが空間に浮いたり床を転がっている瞬間」だ

拡大解釈すれば
「パスでボールが空飛んでる間」や
「ドリブルでボールがドリブラーの手から離れてまた手に戻るまでの間」だって
実際には「攻防どちらのチームのボールでもない」ことになる

そうすると
「どちらのチームのボールでもない」「ボールがニュートラルな瞬間(隙間)」はゲームの中で数限りなく発生していることになる

だから
「ニュートラルボールは絶対に自分のものにする」って思っているチームとそうでないチームがゲームをすると
攻撃回数・リバウンド数・スティール数・ターンオーバー数……
などに圧倒的な差が現れる
それは単純に技術力や体力の違いってことではなく
「すきま」の勝負の差なんだろうと思う

「ふっとした瞬間」の勝負
「ちょっと気を抜いた瞬間」の勝負

そういったことを「球際の強さ」なって表現することもある

古来から「リバウンド・ルーズ」の大切さは枚挙にいとまがないほど語られてきた

じゃあ振り返ってみて
「ニュートラルボールを絶対に自分のものにする練習」や
「ボールをニュートラルにする練習」が
日々の練習の中にどのくらい組み込まれているだろうか?
どんな練習の中にも「球際の強さ」を求めているだろうか?
あらゆる「すきま」に勝負を見出しているだろうか?

ゲーム中に
どんなに口すっぱく「リバウンド!!」「ルーズボール!!」言っても無駄

バスケットボールは習慣のスポーツ
ゲームでは「いつも通り」のことしかできない

2017/05/08

⑧ 切り替え transition

攻撃→防御→攻撃→防御…
集合→離散→集合→離散…
通学→授業→練習→通学…

バスケットボールの練習や試合のありとあらゆるところには「切り替え」がある
「局面の切り替え」
「メニューの切り替え」
「行動の切り替え」
 ………
これらの切り替えは
戦術行動をより効果的にし
時間資源の活用をより効果的にする

それでも
バスケットボールに限らず競技スポーツ全般において
いや
競技スポーツに限らず人生全般において
最も難しい切り替えは
「失敗からの切り替え」だろうか

一度起こった失敗はどんなに考え尽くしても消えて無くなることはない
にもかかわらず意識が過去の失敗に留まってしまい
今その瞬間に集中することができなくなってしまうことがいかに多いことか

失敗そのものに意識が留まるだけじゃなく
未来の失敗に意識が飛んで不安になったり
失敗に対する他者の評価に意識が向いてしまったりすることも実に多い
これらは全て集中を阻害する要因

競技スポーツに本気で打ち込むことによって得られるライフスキルは数多くあるが
失敗からの切り替えはその中でも最も重要なスキルなんだとダブルゴールコーチングには書いてある

個人であっても
チームであっても
失敗からの切り替えを大切にし
今その瞬間を生きることを学び続けることができれば
失敗も成功のための一つの過程であったと言える未来にたどり着ける可能性が高くなる

でも
最も難しい切り替えは
「成功からの切り替え」なのかもしれない

失敗体験は「変化」や「挑戦」を生み出しやすいが
成功体験は「安定」や「現状維持」を生み出しやすいから

失敗と同じように成功も通り過ぎた過去の出来事
プレイヤーもコーチも「失敗体験からの切り替え」以上に「成功体験からの切り替え」の方が難しいことを自覚しておかなければ
成功の中に未来の失敗の芽が潜んでいることに気づけなくなる

一つのプレイの成功や失敗
一つの試合の成功や失敗
一つの大会の成功や失敗
一つのシーズンの成功や失敗
そういった一つ一つの経験からの切り替えを常に意識し
常に新しい挑戦を続けていく訓練を日々積み重ねていくことが
心技体の全てをタフにしていくのだろうと思う

バスケットボールは習慣のスポーツ
ゲームでは「いつも通り」のことしかできない

目に見える問題に対応することと目に見えない問題に対応すること

問題解決型思考では 目標を明確に設定し 現状を正確に評価したら 問題は眼前に立ち現れてくる と表現する なので問題は「目標値と現在値との差」と定義することができる ということは 問題には ①「あるべき状態を達成しようと取り組んだが悪い結果になってしまった問題」 ②「あるべき状態を...