2018/10/31

チームの成長も4段階

2018年6月9日の『対戦相手は4段階』で相手の段階について書いたが

勝ち方というかチームの成長にも4つの段階があるんだろうなって思うような出来事がこの一週間で自分の周りに何度か起こった

1:必死にやっても勝てない段階
2:気がついたら勝ってた段階
3:勝ちにいって勝つ段階
4:負けない段階

あれでもかこれでもかと試行錯誤を何度も何度も繰り返しながら挑戦する1の段階の先に突然訪れる2の段階

その瞬間は、富士講の和歌にある
「富士の山 登りてみれば何もなし 良きも悪しきも我が心なり」
の心境なんだろうと思う

「そこにはきっと何かがある」
と思って登ってきてた先にあるものは……
昨日と変わらないありふれた日常と
自分自身の心の中に生まれた達成感のみ

でも「自分はそこに到達したんだ」という思いこそが最も大切なものであり
それこそが競技スポーツによって得られる最高の財産なんだと思う
結果に対する他者の評価なんかはどうでもいいこと

2の段階の後にくる3の段階は「勝ち続けること」への挑戦
「勝つこと」よりも「勝ち続ける」ことの方がはるかに難しい
敗者は勝者を研究するから

でもその勝ち続けることへの挑戦は
1の段階の試行錯誤をどれだけ真剣に繰り返したかによって大きく変わる

負ける経験は「ダメな経験」や「時間の無駄」なんかじゃなく
「こうすれば負ける」ってことがわかる経験

「負けに不思議の負けなし」と言われる通り
「負けることで得られる反省点と次への課題」をどれだけ忘れずに改善し続け挑み続けることができるか

それが突然の2の段階を連れてきてくれるかどうかの境目だろうし
3の段階から4の段階へ上がる「常勝」を創り出すんだろうと思う

2018/10/22

ベンチワークメモ

試合期にはいつも見直すメモ
試合後の反省もあって少しずつバージョンアップしてきたもの
このあいだ応援に駆けつけてくれた卒業生と試合前に見ていたこのメモの話になり
「それください!」って言われたのでアップしてみました

コーチによって試合への臨み方はひとそれぞれ
100人コーチがいたら試合への臨み方も100通りなんだと思う

完成なんてないし
正解なんてものもない

でも
自分の型をもって試合に臨むのは大事なことなんだと思う

試合後に「あれが抜けてた……」とか「あれやっとけば……」とか
試合が終わってから絶対に後悔しないために
また
試合前の緊張を少しでも和らげて「今その瞬間」に意識を留めるために

本に書いてあったもの,自分の体験からのもの,人に教わったもの………
いろんなものが詰まった今となっては,何をどこから得たものかなんてわからなくなってるけど
試合前に見直してるうちに心が静かになっていくもの

2010年10月22日現在
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試合前日について
  • あれこれ考えて夜遅くなるよりも睡眠時間を確実にとってスッキリゲームに臨む
  • 全員が「エネルギー満タン」で試合会場に来ることを求める
試合当日について
  • 試合開始前までに相手の情報に必ず目を通し記憶に残す
    • プレイタイムの前半→後半の目安を考えておく
  • 試合開始前までにベンチワークメモに目を通しキーワードを確認する
  • 試合前に必ず全身のストレッチを行って全身の神経を刺激して脳の働きが良くなる工夫をする
  • 試合前に血糖値を上げる
試合前ミーティングについて
  • w-up前に短時間ミーティングを実施する
    • ハーフタイムでの練習後よりもウォーミングアップを開始する前の方がよい
    • 追加情報があればハーフタイム後に伝えることもあり
  • ELM treeを必ずその試合ごとに伝える
    • どんな努力に焦点を当てるか(Effort)
    • どんな成長に焦点を当てるか(Learning)
    • どんな失敗からの立ち直りに焦点をあてる(Mistake)
         を明確に伝えることで「自分にコントロールできること」への集中度を高め「結果への不安を最小化する」
  • emotional tankを満たす言葉がけをする
  • どんな勝ち方をする?
  • 自己制御スタイルを❶に整える!
   ❶ミスを恐れず,自身における最大限のパフォーマンスを目指す(獲得への接近)遂行:促進焦点
    「〇〇できたら△△することができる」
     ❷ミスを減らし,安全な遂行を心が得る(損失の回避)遂行:防止焦点
    「〇〇できなかったら△△できない」

タイムアウトについて
  • サンドイッチの原則
  • 最大で3つの情報とする
    • 試合中、選手は理解できない。科学的にも、運動中で披露している選手が覚えられる新しい情報は3つが限界というデータも出ている。もし、あれもこれもと、例えば8つも新しい情報を伝えているとする。きっと、そのタイムアウトは意味をなさないだろう。
  • 最も重要な項目を最後に伝える
  • タイムアウトの時間配分は、下記をベースに考える
    • 10秒:休息
    • 40秒:情報伝達(サンドイッチの法則を活用)
    • 10秒:ハドルの時間、選手同士でのコミュニケーション
  • とにかくシンプルに。KISSの法則
    • Keep it simple,stupid(馬鹿でも分かるようにシンプルに!)

ハーフタイムミーティングについて
  • 選手だけの時間を与える(ロッカールームであれば、入室時間を調整する)
    • HC=Box scoreの確認が先
      • 得点, プレイタイム,3point, rebound, foul
  • サンドイッチの法則
    • 良いこと、指摘・改善点、良いこと、という順番で伝える
    • 選手に聞く耳を持たせることが大切
  • 最も重大なオフェンスの問題を伝える
  • 最も重大なディフェンスの問題を伝える
  • 解決策にフォーカスすること

試合後ミーティングについて
  • ELM treeの評価をする
    • どんな努力が成果につながったか
    • どんな成長がみられたか
    • どんな失敗からの立ち直りが見られたか
  • 敗戦後にemotional tankが空っぽにならないように気をつける
    • スコアボードに対する評価だけで終わらずに
    • ELMの評価を中心に行う→次へ向けてのELMのポイントも伝えていく
    • 反省じゃなくて整理
  • 試合後の3つの質問
    • 今日良かったことは何か?
    • 次に同じ状況があったらどうするか?
    • そのためにどんな準備をするか?
  • リカバリーを確実に行わせる
  • 「今の試合の振り返り」よりも「次の対戦相手の観察」を優先させる

ベンチの在り方に関して
  • 選手をいかに集中させるか,いかにいい感じでプレーさせるか,いかに乗せるか
  • コートに送り出す際の短いkey wordを試合に至るまでの練習で作り上げておく
  • スターティングファイブの紹介はセンターサークルへ向かって斜めに両側から花道を作って送りだす
  • Good shot, Dive, Transition layupにはスタンディングオベーション
  • 交代でコートに入るプレイヤーをコート内の主力がハイタッチで受け入れる
  • 交代選手はベンチプレイヤー全員が立ってハイタッチで受け入れる
  • タイムアウト明けはチーム全員のエールで勢いを出す
  • ベンチ内で誰が・何を伝えるかということについてチームでの原則が必要
    • 練習中から「◯◯」の責任者を明確にして試合中もその観察に責任を持たせる
  • アシスタントコーチに対して通常から伝えたいことを明確に示しておきベンチでフィードバックさせる
  • アシスタントコーチもしくは学生コーチにサイドコーチングで徹底して声を出させる
  • タイムアウトはベンチの主力が迎えに出てタッチで返す

試合前の情報のインプットについて
  • 試合開始までの情報を再確認しておく
    • 必要であればメモを手元に持っておく

試合中のプレイ観察について
  • 毎回の攻防を「経過」から全て見抜くように観る
    • 「結果」としてのTOやMissしか見えなくなることを防ぐため
    • 具体的な指示を出すため
    • 多くの場合,起こった目に見える結果の前に,目に見えない原因が隠れている
    • 毎回のオフェンスを「実況中継」しながら見る訓練を日常的に行いモデルとの違和感を見抜く観察力を養う
  • うまくいっていない状況の時に「仮説を持って試合を眺める」習慣をつける
    • オフェンスもディフェンスも同じ
    • 機能していないとういことは………ここがおかしいはず
    • こうすればうまく機能しはじめるはず
    • →仮説が正しいと数回の観察で見抜いてから指示を出せるようにする
      このkey wordが練習やそれまでの試合の中で作れていることがベスト
  • 間接視野で5人の動き全体を把握しながら観る
    • 焦点となる1on1や2on2に焦点を絞りフォーカスしすぎると
    • →残りのプレイヤーの配置が見え無くなりヘルプサイドに対する指示が出せない
  • 「攻撃の柱」が機能しているかを常に観察しておく
  • 「失敗からの立ち直り」ができているかを常に観察しておく
  • コーチが「声を出しすぎる」とかえってゲームが見れなくなる場合があることを注意しながら,「演じる時」と「眺める時」のメリハリをつけていく

起用に関して
  • 公平さを確保する(ゲーム中は期待より成果)
    • 中心的プレーヤーでも集中力が低い場合は一旦下げて集中させる
    • 審判や相手のラフプレーに対して心が乱れた場合は一旦下げるか,コート上で修正させるかどちらか見分ける
  • ゲームプランにあるプレイヤーは前半に出しておく
    • 1periodで2名〜3名
    • 2periodで残ったメンバー
  • ゲームのリズムを保つためにメンバーチェンジは原則2名まで
  • 2nd unit はディフェンスのエネルギー量の大きさを求める(ディフェンスの変化も要求)
  • リーグ戦の1日目と2日目は疲労度が違ってくる場合がある
    • 1日目を タフに戦った2日目は「脚にきている」ことを考慮して声かけ,メンバーチェンジを行う
  • 攻撃の柱が明確になるようにメンバー構成を考える
    • スコアラー, リバウンダー, スクリナー, パッサー
    • 全員がスコアラーである必要はない
    • インサイドで戦える2名を確実に入れておく
    • リバウンダーの機能を高めるプレーヤーを必ず指名しておく
    • 全員がアウトサイドになると結果的に攻撃できなくなる
    • 基本的にスターティングメンバーを最低2名は残してメンバー構成を考える(勝敗が決した後は別)
    • PGに不安がある場合は,GをサポートできるFもしくはCを必ず配置しておく
    • →そうなるように練習で作っておく
  • ランニングスコアシートが「空白」になっているプレイヤーは消極的になっている可能性が高いので交代させる
  • シュートを2本連続して落としてその間にプラスの貢献度のプレイが入らない場合には基本的には一旦交代させる
  • コート内に常にエネルギー量の大きいプレイヤーを二人は配置すること
  • 1番と2番、3番と4番、のユーティリティーを年間を通して作っておくこと
  • 悪い場面で悪いプレーヤーを交代させて指示を与え,再びコートに立たせる
    • 帰ってきたプレーヤーへの具体的な指示
    • ネガティブメンバーチェンジにしない
    • 問題発生後直ぐに一旦交代させて指示をだして再び機会を与える→これを逃すと、ダメージが大きくなって次に出せないか、うまくいったりいかなかったりで結局問題が解決しないまま時間が経過してしまい、次に出す機会を与えられなくなってしまう
    • 切り替えの言葉を伝える
  • ゲームの最後の場面で、一番練習している状態になるようにする
    • 日常的な練習でメンバー構成と場面を確認する
    • プレイタイムを週明けに想定して練習をしておく(タフなゲームを設定したメバー構成)
  • 接戦の最後の場面は、プレッシャーリリースに強い者を起用する
    • 相手のプレスがファール狙い・ギャンブル狙いでくるのに負けない強さ
    • ポジションのバランスを崩してでも弱いメンバーを外す
    • 勝ちゲームのラストは相手のプレスディフェンス
    • →練習ではpressure releaseを練習させておくことが大切
       (その時のメンバーを想定して対戦相手の予想されるpressureをreleaseさせておく)
  • 後半の失速を防ぐために
    • 前半と3ピリオドまでのメンバー交代で体力温存
    • 最もやられている部分への明確な指示と手当
    • メンバー構成を間違わない
    • ネガティブメンバーチェンジ→ポジティブメンバーチェンジに変えていく
  • 1年生のデビュー戦は勝ちゲームにする
  • キーマンを休ませる時間帯はディフェンスを強くするメンバー構成にする
    • 基本的に一人だけ変える
    • ピリオドの2分を効果的に使って休ませる(これにタイムアウトが加わればさらに休める)
戦術・戦略について
  • ゲームの核となるチームとしてのplayを確実に決めて優先順位を具体的に指示する
    • post, cut, drive, screen
    • who, where, how, what
    • これを任せて自由にゲームを始めるとTime outで修正できない
  • オフェンスの多様な狙いを練習段階で指導しておき
  • →ゲーム中は「key word」で短く焦点を当てるようなイメージに作り上げておく
    • 練習している場面がゲームで現れた時は必ず「それだ」の声をかける
    • シーズン中に修正してきた場面を言葉にしながら対応策の引き出しを作っていく
  • Time outで相手のオフェンスを止める具体的な指示を出す
    • 3P? 2P? Drive? etc   これらを明確に「●●しろ」で伝える
    • 「原則を言うか」⇄「アジャストを言うか」
  • 相手の攻撃(特にscreen)に対する対応をどれでいくか?
  • →前半に試す勇気を持つ(これをプレヤーに預けずにチームで明確に仮説を立ててやってみる)
     ダメでも↓
      ハーフタイムの時間で考えられる
      残り20分の戦いがある
  • オフェンスの何か一つの形に囚われて、相手のディフェンスがいなくなってしまう状態になることを防ぐ
    • どう始めるか、どう継続するか、どう連動するかの仕掛けを作る
    • プレイヤーの攻撃する「感性」の邪魔をしない
  • 自分たちが使っているスクリーンに対する相手の対応を確実に観察しておき、不具合が起こった時に見抜く
    • 日常的な練習の中で、自分達のディフェンス対応だけでなく、想定される対応を訓練しておく
  • 受けに回って消極性が見えたら、その部分は具体的な指示を出して守りで仕掛けて自分達の積極性を出すようにする
  • 相手のmainガードがrestの時は積極的にfull court press(zone pressがあればbest)を仕掛ける

レフリーの判定について
  • レフリーへの攻撃的な批判は結果的に自チームへのマイナスになることを理解する
  • 見てほしい場所は「つぶやく」「お願いする」
  • 流れに乗って瞬間的にボールの所有権を引き込む

2018/10/06

できない経験

春にギータを買い換えたので
このところ時間ができたら少しギターを弾く練習をする

下手の横好きで独学だからぼちぼちにしか上手くならないし
人に聞かせられるようなレベルじゃない

今は「ソロギター」というジャンルに挑戦中なので
単純なコード弾きではなくメロディーとベース音の両方を弾くタイプに取り組んでいる

youtubeで聞いてると本当に簡単な曲だし
解説を聞いてたらすぐにも弾けそうなんだけど

なんでそんなに自分の身体なのに自由自在に操作できないんだ?って思うくらい
わずかずつしか進歩しない

でもそんな
どうすればいいか頭ではわかっているのに
その通りに動かない身体と付き合う経験が

毎日の練習でとても役に立つ
というか
できないプレーにあまり腹が立たなくなった

今日は昨日よりここが少し良くなったなぁとか
これを後3回くらいやったらあのレベルまでいきそうだなとか
学生も一生懸命取り組んでんだよなとか

思うようになった

できない瞬間に突っ込むことも当然あるけれども
できた瞬間に「いいじゃない」って声をかける度合いが増えたような気がする

冬のスキーの季節にも同じような気持ちになる
インストラクターに教わる機会があるけれでも
自分の身体に染み付いた動きを変えるのはかなりの時間がかかる

どんなスポーツにせよ
コーチは教えるだけじゃなく
自分が教わる経験とか
できないことに取り組む経験とかを同時にするのがいい

そうすれば
バイオレンスを伴った指導なんて簡単になくなると思うな

2018/10/03

好循環と悪循環の分かれ道

好循環=うまくいく→だから〇〇する(できる)→さらにうまくいく……
悪循環=うまくいかない→だから〇〇しない(できない)→さらにうまくいかない……

ってことは
好循環と悪循環とを分けるのは最初の部分の結果だ!
長いことそんなふうに勝手に思ってた

でも待てよ
そうすると
最初の結果が悪かったらずっとうまく行かないってことになるのか?
最初がそれ以降を全て決めるのか?
って疑問が湧いてくる

確かにそういった部分は確かにある

でもこのところ思うことがある
それは

好循環と悪循環とを分ける分岐点って
最初の部分を「うまくいってる」って思うか「うまくいってない」って思うかの違いなんじゃないかってこと

同じ結果でも人によってそれをどう受け止めるかは違うもの
事実は一つでも解釈は人の数だけ生まれる

好循環を回していく人って
楽観的に「うまくいってる」って思える人なんじゃないかって

そりゃ
根拠を持って「うまくいってる」って思えればそれにこしたことはないけど

好循環と悪循環を分けるのは
結果じゃなくて
その結果の解釈なんじゃないかって

だから
成功するから好循環が回り
失敗するから悪循環が回る
んじゃなくて

失敗だと思うから悪循環が回り始めるんじゃないかって


これは『「勝てる人」になる技術 奇跡をもたらすメンタル・トレーニング法
ってセブンイレブンで買った本に載ってるチェックリスト
面白い本だったので毎朝これを眺めるようにしてるけど

結局どんな本を読んでみても
「自分自身が自分自身を苦しめたり幸せにしたりしてる」ってことが書いてある

だったら簡単じゃない
だって「自分がどう思うか」なんて「自分で決めれること」なんだから

目の前に現れた結果を「他者がどう評価するか」を気にして
勝手に「失敗」にしてしまうんじゃなくて
「大丈夫」「うまくいってる」「きっとうまくいく」
って解釈していけばいいだけなんだから

好循環は誰かが運んできてくれるもんじゃなく
自分自身が生み出していけるもの

そんな風に思う

目に見える問題に対応することと目に見えない問題に対応すること

問題解決型思考では 目標を明確に設定し 現状を正確に評価したら 問題は眼前に立ち現れてくる と表現する なので問題は「目標値と現在値との差」と定義することができる ということは 問題には ①「あるべき状態を達成しようと取り組んだが悪い結果になってしまった問題」 ②「あるべき状態を...