2025/06/05

バスケットボールを安全にプレイできる環境を求めて

 バスケットボールに関わる全ての皆様にどうしても考えていただきたいことがありこの投稿をしています

女子の大学カテゴリーですが1990年代からずっと現場で指導する教員コーチとしてどうしても考えていただきたいことです
それは「強度(intensity)」についてです
歴史的にバスケットボールは130年前に「non contact sports」として生まれた競技です
しかしスポーツの商業化の流れの中で時代の変遷と共に「contact sports化」しました
NBAやユーロリーグあるいはWNBAをはじめとしたプロスポーツにおいては完成段階にあるアスリート達がphysical trainingとbasketball trainingを高度に行っているという前提でcontact sports化していくことに一定の理解はできます
オリンピックをはじめとした国際大会にはプロのトップアスリートが出場する時代になったため一定水準のcontactが許容されることも理解はできます
その結果全ての球技がアメリカンフットボール化しているとも言えます
しかしアンダーカテゴリーでは児童・生徒・学生という教育とスポーツ活動を両立している段階があります
社会主義国でない限り当然24時間全てをスポーツ活動に使えるわけではなくphysical trainingとbasketball trainingを高度に行うことには限界があります
そのような中で「世界は…」「国際大会では…」「国内の笛を変えない限り世界では勝てない…」的な論調により、審判の笛も変わりました
ベンチからも「身体を当てろ!」「ボールに手を出せ!」の声すら聞こえてくる時があります
笛が変われば当然戦術が変わります
コートはぶつかり稽古の場と化します
シリンダーという名のファールがゼスチャー付で創設された一方で乱暴な手や腕の使い方は逆に増えている印象です
一大学教員コーチの私にとっては
それが良いことなのか悪いことなのかわかりません
しかし試合中に発生する「突進」「空中での衝突」「飛び込み」「飛びつき」「押し飛ばし」「ボールへの執拗な手」「腕の振り回し」「腕のつかみ合い」…を「強度(intensity)」という名の元に許容あるいは推奨する風潮は水準を超えた身体接触を増加させ怪我のリスクを数段上げていることもまた事実ではないでしょうか
万が一のリスクが万が十や万が百にもなっています
大会を開催する度に松葉杖や車椅子が必要になる状況はどう考えても正常ではありません
フィジカルコンタクトのスキルが必要なこと
そのためのフィジカルトレーニングが極めて重要なこと
フィジカルコンタクトを避けたり嫌がったりするプレイヤーは現代バスケットボールでは高いパフォーマンスを発揮できないこと
それ抜きに現代バスケットボールは成り立たないことも理解し日々指導しています
十分すぎるくらいわかっています
それでも
アンダーカテゴリーのプレイヤーにとって怪我はとても大きな意味を持ちます
膝前十字靭帯損傷に至れば復帰に1年を要するだけでなく再受傷のリスクも高まり場合によってはスポーツ継続を諦めざるを得ないといったことも発生します
バスケットボールに関わる全ての関係者の皆様
「強度(intensity)」について今一度立ち止まって検証し
「トッププロ」と「アンダーカテゴリー」を同列に扱うことをやめ
「プレイヤーは消耗品ではない」という意識を強く持ち
「タフ(tough)」なプレイと「ラフ(rough)」なプレイを明確に区別し
「そういうもんだ」「そういう時代だ」といった思考停止をやめ
バスケットボールプレイヤーがより安全に競技できるような環境を作っていただけたらと思います
様々なご意見があることは承知していますが
この記事が「行きすぎた」「過剰な」intensityからプレイヤーを守る何かのきっかけになれば幸いです

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