2018/07/21

仏を彫り出す




「大学のコーチが高校生をリクルートする時って何みてるんですか?」
って聞かれることがある
そんな時はいつもこんな風に答えてる

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プレーヤーを育てるのって
丸太の原木の中に潜んでる仏を彫り出して
仏像を創るような感じ

だから
目の前にいる高校生プレーヤー見たときに
目の前に既に現れている姿形は当然見てるけど
それよりもこの原木の中から
大学4年間でどんな仏を彫り出すことができるんだろう
ってことをワクワクしながら見てることの方が多い
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チームの戦績とか
今のスタッツとか
無いよりはあった方がいいのは当然だし
今既に何ができるかってことはもちろん最優先
高校カテゴリーと大学カテゴリーの最大の差はフィジカルコンタクトだから
それに耐えうる身体を有しているかは最低条件

でも
4年間一緒に過ごした学生が卒業して巣立って行くときに
入学時には目に見えて現れていなかったそのプレーヤーの中の個性が
鮮やかに掘り出され
目に見えるものになったなぁって思える時が一番嬉しい

高校生はまだまだ荒削りで原木に近い
その原木に自分が掘りたい仏像の絵を写し
その通りに削っていくような作業じゃなく
その原木の中に隠れている個性豊かな仏を
探りながら探しながらゆっくりと掘り出していく作業
そうやって個性豊かなプレーヤーが育っていったらいいな

原石を磨くって表現も好きだけど
やっぱり原木から彫り出すって表現の方が自分にはぴったりくる

素敵な個性が潜んでる高校生にたくさん出会いたいな

2018/06/09

対戦相手は4段階

1:試合をすれば勝てる相手
2:きちんと準備をして試合をすれば勝てる相手
3:きちんと準備をして試合をすれば戦える相手
4:きちんと準備をして試合をしても戦えない相手

2の相手に勝ちきり
3の相手に競り勝つ

そんなことを繰り返しながらチームは強くなっていくのかな
2の相手に対して油断すれば足をすくわれ
3の相手に対して焦点がぼやけて協働が乱れれば大きく離される

そんなことを考えて勝手に壁を作ってんのかもしれないけれど
階段を確実に1段ずつ上がっていくのがいいな

2018/02/05

世界一の精密機械を生み出せる国だからこそ

日本人は流行りものが大好き
今の流行りはコーディネーションなんとか……

なぜドイツで発達したのか?
それはドイツが世界で5番目に背が高い国なので
放って置くと独活の大木(うどのたいぼく)になってしまうから
必要に迫られて……
と東独の育成システムを長年研究している方から教えてもらった

そのことを聞いて以来
これまで以上に「じゃあ日本人って一体なんなんだ?」
ってずっと考えるようになった

何をやるにせよ
とにかく日本人という国民性を出発点にする

そう思って一番に頭に浮かんだのは「精密機械」「高品質」
日本人の「勤勉さ」「繊細さ」「几帳面さ」「生真面目さ」「辛抱強さ」「忍耐強さ」
そういった特性が生み出す細やかさはやっぱり世界に類を見ない水準のものなんだと思う

出来上がる製品の緻密さは
ものを作り上げる職人の緻密さであり
手順や手続きといった作業過程の緻密さであもある
そんな「手間をかける」ことができる国って他にはないのかもしれない
「効率化」なんて言葉は簡単に吹き飛んでしまう


バスケットボールは世界のスポーツ
だから目標とする戦略や戦術や技術については世界を追っかけていったらいいと思う
その部分で「ジャパンオリジナル」を探しても「ガラパゴス化」するだけで
あまり生産性がない気がする

情報はあっという間に世界を駆け巡る時代
「新しいもの」や「有効なもの」なんて
今日は通用しても明日は簡単に対応される

問題は
その目標へ「どうやって到達するか?」ってところなんじゃないかと思う
「勤勉さ」「繊細さ」「几帳面さ」「生真面目さ」「辛抱強さ」「忍耐強さ」
があるからこそ
コツコツと根本から手間暇かけて積み上げていける
日本人にしかできない時間の費やし方があるんじゃないかと思う

流行りの技術や流行りの練習方法を追っかけて上っ面を模倣するんじゃなく
基本わざは何か?
その技術の基礎技能は何か?
基礎技能のどこを変えたらどんな変形わざになっていくのか?
他の技術と組み合わさったらどんな発展わざになるのか?
そんなことをどこの国よりも突き詰めて考え
どの国よりも丁寧に時間をかけて育てていく

目標にオリジナルを求めるんじゃなくて
到達方法にオリジナルを求める

体操競技は「美しい体操」を掲げて世界のトップに返り咲いた
「美しいバスケットボール」があるのかないのかわからないが
「世界一緻密で正確なバスケットボール」なら目指せるんじゃないか
そんなことを強く考える今日この頃

でも
Made in JAPANの品質が低下し
偽装や不正が横行するものづくりに関わるニュースを見ると
日本人が本当に大切にしなければならないものを
失ってしまったんじゃないか?
失いつつあるんじゃないか?
って危機感が湧いてくるのもまた事実

また明日から
目の前のプレイヤーと向き合って
日本人らしく時間をかけていこうと思う

2017/10/10

意識を今その瞬間に留め置く力を養成するためにコーチはどうしたらいいのか?


これは、大学のコーチング論で使うスライドの一枚。

競技スポーツに打ち込めば打ち込むほど、
勝ちたくなればなるほど、
意識は「まだ来ぬ未来」や「通り過ぎた過去」や「他者」へ飛んでいってしまい、
意識を「今その瞬間」に留め置くことが難しくなる。
ということを簡単にモデルにしたもの。

自分にコントロールできないこの3つへ意識が吹っ飛ぶと不安は増大し自信は低下する。
結果的にパフォーマンスは悪くなる。
「練習で力は付いたのに試合で発揮できなかった」なんてことになる。

これはプレイヤーにとってだけでなくコーチにとっても同じこと。

だからチームを指揮するコーチには、
自分自身の意識を今その瞬間に留め置く力に加えて、
プレイヤーの意識の居場所を見極める力や、
プレイヤーの吹っ飛んだ意識を今その瞬間に戻すことを支援するスキルが必要になる。

「試合は練習のように、練習は試合のように」という言葉があるが、
試合ではどうしても練習の何倍も勝敗や成否が気になり、
意識が吹っ飛んでしまうことが多い。
「あがり」とか「不安」とか「緊張」の類は、
自分にコントロールできないことに意識が吹っ飛んでいくことによって生じる心身の状態。

「いつも通り!」は、言葉で言うほど簡単なことではなく、
どんなレベルのプレイヤーにとっても、何よりも難しいことの一つなんだと思う。

だからこそ、
試合で今その瞬間に意識を留め置くためには、
練習で今その瞬間に意識を留め置くことを訓練するしかない。
ということになる。

全く違った話だが、
「エアコンの効いた快適な室内環境で育った子どもは体温調整の機能が育たない」
と言われる。
それは「温度変化という刺激」を与えないから、それに対する「適応」が発生しなかったということ。結果的に暑ければ体温が上がり、寒ければ体温が下がる変温動物のようになってしまう。

言い換えると、
「環境変化という刺激」が結果的に「恒常性という適応」を生み出すということ。
逆説的だが「変化」が「恒常」を生み出す。
「ストレスを取り除く」のではなく「ストレスをかけることで耐性を高める」方向性。

同じように考えると、
「結果が気にならない・成否が気にならない快適な練習環境で育った子供は、意識を今その瞬間に留め置く機能が育たない」
って論理が成立するんじゃないだろうか。

言い換えると、
「常に意識が吹っ飛んでしまうような刺激」が結果的に「意識を今その瞬間に留め置くという適応」を生み出すということ。
「ストレスを取り除く」のではなく「ストレスをかけることで耐性を高める」方向性。

これを昔は「バイオレンス」という非合法な手段を用いてコーチはやっていた。
「殴られるという恐怖」は「未来に対する不安」や「過去の失敗」や「コーチの視線」に意識を吹き飛ばす刺激となるが、その刺激が続くことによって「未来のことなんて考えてもしたがない」「失敗した過去を振り返っても仕方がない」「コーチの視線を気にしてたって仕方がない」って一種の諦めが生まれ、結果的に「どんな状況でも意識を今その瞬間に留め置く力」が育つ。

そうやって「非合法な調教」に耐え生き残ることによって無理やり意識を今その瞬間に留め置く力を育てられたプレイヤーは、試合においても意識を今その瞬間に留め置くことができるようになり、結果的に「自分にできることだけに意識を向けられる『メンタルが強い』プレイヤー」となっていった。
そんな時代だった。
そんなことが当たり前の時代だった。

時代は変わった。
でも試合時の不安や緊張は変わらない。

新体操や体操の世界で行われるいわゆる「通し練習」のように、「失敗が許されない」「成功しないと終わらない」といった設定によって、試合と同じ緊張状態を練習の中に作り出していく方法もあるだろう。

しかし、為末氏が「成長は誰の責任か」という記事の中で述べているように、
「圧力をかけて成長させる方法」は今後どんどん難しくなるのだろう。
たとえそれが「叱咤激励」というものであっても。
圧力をかける側の想いよりも圧力を受ける側の主観で全てが評価される時代。

ではコーチはどうしたらいいのか?

練習では意識を今その瞬間から吹き飛ばす敵となり
試合では意識を今その瞬間に留め置く味方となる

でもこれじゃ「いつも通り」にならない?……

答えを探しながら
今日もコートでプレイヤーと関わる

2017/07/17

セカンドキャリアは一本道 デュアルキャリアは二本道

バスケットボールだけを一生懸命頑張って
プレイができなくなった後に何をするか?
を考えるのは「セカンドキャリア」的発想

アスリートとして続けてきたバスケットボールの一本道の先を
アスリート以外の役割で進んで行くという考え方

だから
高校受験も大学受験も
「バスケットボールの推薦で入れるところに……」
ってことになるし
就職も
「ずっと続けてきたバスケットボールに関わって働きたい」
「私にはバスケットボールしかないから」
ってことになる

でも
その先の一本道を進める人は意外に少ない

バスケットボールと専門教育の両立を頑張って
プレイができなくなった後は「◯◯」をする
を考えるのは「デュアルキャリア」的発想

アスリートとしてバスケットボールの一本道を続けることと並行して
将来を見据えたもう一本の道づくりを進めていこうという考え方

だから
「バスケットボールはここまで」
「ここからは◯◯したい」
ってことになる

結果的に「セカンドキャリア」が充実する

そうすると
大学スポーツの役割はもう一本の道づくり
大切なことはスポーツが終わるまでにどれだけもう一本の道を作っておけたかどうか

「デュアルキャリア支援」
今の成果に焦点を当てるだけではできない支援

2017/07/01

そこからが勝負

もうむり……
もうどうしたらいいかわからない……

心が叫ぶ

お願い……
だれか助けて……

でも
人生はそこからが勝負なんだろうと思う

スポーツは楽しい
しかし
競技スポーツは厳しい

上手いと下手を
勝者と敗者を
明と暗を
鮮明に描き出す

競技場では誰も代わりにプレイしてはくれない
競技場では誰も代わりに指揮をとってはくれない

最後の最後に力になるのは自分自身で切り開いてきた道

だから
研究室のドアにはこんな暖簾をかけている

自分に対して
学生に対して
常に問いかけていくために

………………………
道はじぶんでつくる
道は自分でひらく
人のつくったものは
じぶんの道には
ならない
………………みつを

2017/06/18

夢の話

今日のAチームは午前中にある社会人チームと練習ゲーム そこでJBAのカテゴリーの話になった 地域実業団リーグとクラブチームが同じ枠内でゲームをすることになるという話 そこで考えた 「だったら武庫川女子大学の上にクラブチームを作ればいいんだ!」ってこと 関西にはSANYOや積水といったトップリーグのチームもあったが今は廃部になりトップリーグチームがない 地域実業団リーグに参戦している社会人チームもあるが希望する卒業生に対して枠は少ないのが現実 強化のためにのゲームをしようと思えば関ヶ原を越えて愛知県へ行かなければならない 武庫川女子大学には全学的なスポーツ文化醸成を目的にスポーツセンターが設置された 新しい学科(コース)を設置しようという計画も動いている そういった流れが一つになるように夢を持てば きっと実現できる 夢に共感してくれる人が増え 夢の実現を助けてくれる人が増え 10年後には思い描く未来が来ているように 今から動こう! 関係の皆様 是非力を貸してくださいm(_ _)m

2017/06/15

何が非連続的な成長を生み出すのか?



MWU LAVYSは
「バスケットボールプレイヤーとしての成長」と「人としての成長」
という二つの成長を目的とし
「勝利」と「熟達」
という二つの目標を設定して日々活動している

最近強く思うのは
二つの成長はどちらも「連続的な成長」ではなく「非連続的な成長」なんじゃないかなぁってこと

外から見ていて「あっ変わった」って思える瞬間が確かにある
それまでのステージとは明らかに違ったステージに上がったと感じる瞬間だ

「変わった」
「違うステージに上がった」
「飛躍した」
 ってことは本当に多い

それは「だんだんと」変わるような変化じゃなく
「瞬間的に」変わるような変化

ところが
その「結果としての飛躍」が「なぜ」起こったのか?
についてはわからないことが多い
正直言って「これが結果としての飛躍を生み出した元だ」って
50歳にもなって未だ確信をもって言えることの方が少ない

技術的な飛躍というか
「できないこと」が「できるようになる」って非連続的な成長を生み出すこと
それは「その一つの技術のパフォーマンス構造」が理解できていればなんとかなる
目標は? 今の状態は? 問題は? 原因は? 課題は? 解決手段は? 計画は? 実践は? 評価は? って課題解決型思考サイクルを回していけばなんとかなることが多い
分析的な思考スキルが中心となって機能するコーチング行動と言えるかもしれない

この記事でいう非連続的な成長っていうのは
そういった個々の技術の成長のことではなく
「バスケットボールプレイヤーとしての成長」や
「人としての成長」や
その集合体としての「チームとしての成長」
といった「全体の成長」
「勝ったり負けたりしているステージ」から
「何度戦っても勝つステージ」への飛躍

目の前にいるのは
「モノ」ではなく「ヒト」
「操作」できるようなものでもなければ
「単純な因果」で説明できるような単純なものでもない

本当は競技力を構成する「心技体」全ての要因の因果関係を理解し
競技力のパフォーマンス構造の全体像を把握した上で
「意図的に」「飛躍を生み出すコーチング」ができるのが理想なんだと思う

でも
「何か違う」って思う
根拠はよくわからないが

「何か違う思考スキル」が必要なんじゃないかって思う
「分析的思考」とは違うとすれば「統合的思考」か?
ってほど単純なことではなく

「出発点とは何か?」って思考
「原点思考」と言えるのか?
よくわからない

「目標」の飛躍を生み出す元と言ったら
「目的」の飛躍か?
 何か違う
「意志」の飛躍か?
「意欲」の飛躍か?
 ‥‥‥

よくわらかないけれども「違うステージに上がる非連続的な成長を生み出したい」
って強く思うことだけは事実

じゃあ
そのためにコーチとして何ができるのか?
何が飛躍の連鎖を生み出し結果を変えていくのか?
その出発点を見つけたい
その出発点からコーチングできるコーチになりたい

そう思ってまた明日から現場に立とう
必ず飛躍の元があるはず

2017/06/10

ライフスキルとしての思考スキルをもった人材

学生バスケットボールはプロスポーツではない
学生は専門教育とスポーツ活動の両道を目指すもの

だからこを
専門教育の文とスポーツ活動の武を通じて
様々な社会の問題を解決していける人材が一人でも多く育ってほしいと思う

学生時代に出会う目の前の問題を解決していく経験を何度も何度も繰り返していくことによって
将来実社会で出会う問題を解決していくための力が育っていくんだとと思っている

そのためには
課題解決型思考(問題解決型思考)をスキルとして身に付けることが絶対に必要になる

25年前に
大学でお世話になった教授から教わったこと叩き込まれたこと
研究室の大学院生全員にDNAのように脈々と受け継がれていること
それは今この図となって自分の中の大切な根っこになっている

大学の4年間・大学院修士課程の2年間・博士課程の3年間
本当に多くのことを学んだが
その中でただひとつ大事なものをあげろと言われたらこの図になるんだと思う
そのくらい自分の人生にとって大切なもの

今を正確に評価でき
未来を明確に設定できる人の眼前に
問題は立ち現れてくる

今だけを見ていても
未来だけを描いていても
問題は見えてこない

問題(gap)にはそれを産み出している背景や原因があり(why)
そこからじゃあ何をすればいいかって課題が見えてくる(what)
だから問題と課題は別のもの
問題をひっくり返すだけでは課題にはならない

問題と原因の構造的な理解がキチンとできたら
「だったらこうしたらこうなるんじゃないか」って
仮説が見えてきて課題も明快に設定できる

そしたら
課題を達成するための手段を具体的に準備しなければならない(how)
手段は既にあるものの中から選択してもいいし
無いなら新しく創造すればいい

手段が準備できたら
それをいつ・どこで・誰が・どんな頻度で・どんな回数…って計画し実践してみればいい

実践したら必ず成果を評価して省察する

それって「PDCAサイクルだ」って言うとなんとなくわかったような気がするけれども
課題解決のサイクルを回すには単純な4段階では無理ってのが
コーチングを現場で続けてきた結果の自分の理解

そんな思考サイクルを
色んな問題に当てはめて考えて実践してみる習慣を
学生時代の文と武を通じて培っていきライフスキルとして身に付けていく

それが学生スポーツに本気で打ち込むことによって得られる価値の一つなんだと思う

その先に勝ちを見つけたい
それが自分のコーチングフィロソフィーの中の重要な一つの柱なのかもしれない

タフさの先にある勝負強さを求めて

勝負強さって二段階なんだろうな 
 第一段階は勝負のシュートを打つ力 
 第二段階は勝負のシュートを決める力 

経験は「過去」にある 
それでも戦いは「今」にある

「過去の違い」を超えていくには「今の練習」を変えていくしかない
タフさの先にある勝負強さを求めるには「今の練習」を変えていくしかない
そのためにも10か条のブラッシュアップが必要だな

バスケットボールを安全にプレイできる環境を求めて

  バスケットボールに関わる全ての皆様にどうしても考えていただきたいことがありこの投稿をしています 女子の大学カテゴリーですが1990年代からずっと現場で指導する教員コーチとしてどうしても考えていただきたいことです それは「強度(intensity)」についてです 歴史的にバスケ...