2011/09/27

コーチが作るコーチのための組織


1990年代に日本バスケットボールコーチコミッティーという組織が生まれた。
Japan Basketball Coaches Committee(JBCC)と名乗った。

バスケットボールのコーチ有志が相互研鑽を目的に、自ら年会費5,000円を払って集まったもの。
それは日本バスケットボール協会とは別に、コーチ自身が作ったコーチのための組織だった。
設立当初、誰でも入れるという組織ではなく、全国大会へ出場したコーチというハードルを作って入会案内を送付し、コーチコミッティー設立の趣旨を提示した上で会員を募っていた。

コーチコミッティーでは、「今、世界はどうなっているのか」「シュートはどうやって指導したらいいのか」「代表コーチはどんなことを考えているのか」「スクリーンの守り方にはどんなものがあるのか」などなど、コーチ自らが事業を企画し、細々とではあったが活動を開始していた。

郵便局に口座を作り、300名程度の会員から直接会費を郵便振替にて集め、パウチの会員証を手作りで発行していた当時、東京の大学で事務局の作業を受け持っていたが、そこには「全国のコーチからお金をいただいている」という緊張感があり、「お金を集めたからには、それに見合う価値を提供しなきゃ」っていう責任感があった。コーチが作った組織だから、話題はとにかくバスケットボールの技術や戦術や体力。バスケットボール政治力学とは無縁の組織だった。学閥すら意味をなさない組織だった。会則も整備し、総会も行っていた。

しかし、その会費徴収が日本バスケットボール協会のコーチ登録制度に飲み込まれ、いつの間にか協会傘下の組織となった。お金はコーチコミッティーが自ら集めるものではなく、コーチ登録費として日本協会に徴収した金額の一部が降りてくるという仕組みになった。緊張感と責任感が抜けた後、バスケットボール政治力学の狭間で活動がストップした。

そのコーチコミッティーが再び活動を開始する。
名称はコーチ委員会になる。
今度は、日本中のコーチ全員に所属する権利が与えられる。
日本中のコーチ全員の名前が記載された名簿が出来上がる。
バスケットボール政治力学から離れた、正真正銘のコーチによるコーチのための組織。

ミニのコーチ、代表のコーチ、強いチームのコーチ、弱いチームのコーチ、男子のコーチ、女子のコーチ、プロコーチ、アマチュアコーチ、協会の理事や役職、そんなこと関係なく、全員が一人のコーチとしてケンケンガクガクできる場が再び現れる。

そこでは、壁を取っ払う分、いろんな摩擦が生まれるんだと思う。しかし、摩擦からはアイデアが生まれる。そのアイデアを、日本協会内に役職のあるコーチが、緊張感と責任感をもって事業へ反映させていったらいい。

コーチコミッティーをバスケットボール界の不毛な政治力学に二度と巻き込んではならない。 今日の委員会で改めてそう感じた。

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