2021/07/16

目に見える問題に対応することと目に見えない問題に対応すること

問題解決型思考では

目標を明確に設定し
現状を正確に評価したら
問題は眼前に立ち現れてくる

と表現する

なので問題は「目標値と現在値との差」と定義することができる

ということは
問題には
①「あるべき状態を達成しようと取り組んだが悪い結果になってしまった問題」
②「あるべき状態を達成することに取り組んでいない問題」
の2種類があるということになる

①は「やったんだけど失敗したこと」が問題
②は「やらなかったこと」「やれなかったこと」が問題…

①と②はいずれも、あるべき状態と今の状態に差があるという点は同じ

でも
①はいわゆる具体的な失敗だから目につくので認識しやすい

しかし
②は具体的な失敗として目の前に現れてこないから「脳内であるべき姿を映像として流しながら目の前の現象を観察する」というか「目標の像と実際の像の2画面を重ねて違いを見抜く観察」ができない限り絶対に認識できない

そのため
問題解決は一般的に①への対応に偏ってしまうことが多い

目の前に具体的な①の問題が現れることは、スポーツ指導の場に限らず、仕事や日常生活の場の中でも頻繁に発生する

だから
①の問題に対応するときは、「今目の前に現れていない②の問題があるかもしれない」「今目の前に現れていない②の問題を解決したら、今目の前に現れている①の問題はそもそも起こらないかもしれない」などの可能性を検討した上で、「今目の前に現れてる①の問題に対応すること」の意義や重要性や必要性が認められる場合に①の問題に対応し始めるといった思考の習慣をつけたい

そうしないと
次から次へに現れる問題の渦に巻き込まれ、「問題だ問題だ……」ってなってしまう

問題解決力が高いという自己効力感があるほど、無意識に悪循環にはまり込んでしまう危うさがあることを理解しておく必要があるなと思う



2021/06/25

無意識の力って凄い

スポーツに限らず、無意識の持つ力について学ぶことはとても大切なことだなと感じる

まず自分の中に二人の自分がいると仮定する
①考える自分(意識)
②動く身体(無意識)

いろんな事を考え、悩み、迷うのは①の自分
実際にスポーツの中で動いているのは②の身体

時に①は②の動きの邪魔をする
①が自分にコントロールできない未来や過去や他者の事を考えている時
②は必要な情報が入ってこないために持っている力を発揮することができない

あるいは
①が②の動きをコントロールしようとする時
②の動きは自動化が切られ、ぎこちない動きとなってしまう
①は「歩く」や「字を書く」といった簡単な行動ですら完全にコントロールすることはできない
甲子園球場の入場行進で手と足がそろって不自然になるのは①が②をコントロールしようとした結果起こること
本来は全て②が自動的に行なっていることに①が口を出すとこうなる

①の意識が必要な五感「視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚」の扉を開くことだけを考え
必要な情報が入ってくるようにだけしておけば
②の身体はその情報をうけとって自動的に動いてくれる

スポーツにおける「無心」「ゾーン」「フロー」というのは
①が不要な思考を停止し必要な五感の扉を開くことだけを意識している状態で
②の身体が①の邪魔を受けずに自由自在に動けている状態のことなんだと思う

また、①が話す言葉を②は聞いている
さらに、①の考える事を②は黙って了解している
そして、②は①の言葉や考えを「現実化」しようとする

だからナポレオン・ヒルが言うように「思考は現実化する」ことになる

だったら、ネガティブな言葉を唱えたり、考えたりするよりも
ポジティブな言葉を唱えたり、考えたりすることの方が大事

そうすれば、自分が何を言うか、何を考えるかという
意識できることをコントロールすることで
コントロールができない無意識にアプローチしていることになる

言葉を変えれば
意識的に無意識をコントロールする方法ということになる

それが正聞熏習(しょうもんくんじゅう)






2021/06/20

「狙って出した正の成果」と「予想せずに出ている負の効果」に気づくこと

トレーニングは目的をもって行うもの

だから「出したい成果」が先にあって「そのための手段」を準備するという順に考える
当然、トレーニング手段を実施した後は「出したい成果」が出ているかを必ず確認するもの

でも、そのトレーニング手段を実施したことによって「予想していなかった負の効果」で出ていることに気づくことは案外少ない

たまに「予想していなかった正の効果」が現れて
結果オーライなんてこともあったりする

コーチとしてこの「狙って出した正の成果」と「想定外に出た負の効果」と「想定外の正の効果」の3つを正確に評価する力というか思考というか習慣が必要だと思う

トレーニングは、刺激を与えて適応を意図的に引き出す行為だが
トレーニングによって与えられる刺激は、狙った刺激だけに限定されるものではなく
狙った刺激以外にも多様な刺激を持っているはず
そうすると適応は狙った刺激以外の刺激によっても当然引き出されているはず

コーチには「出したい成果」「引き出したい適応」っていう認知バイアスがかかるから
どうしても「想定していない成果」「想定していない適応」についての認知は甘くなる

「想定外の正の効果」はコーチにとっては大歓迎だし
勝ちに不思議の勝ちあり」なんていうのは「想定外の正の効果」もその一因なのかもしれない

逆に「負けに不思議の負けなし」の一因になるような「想定外の負の効果」は常に意識して見極める習慣をつけておかないと「終わってから気づかされる」ことになる…

自分自身「通り過ぎてから気づいた」ことは山のようにあり
プレイヤーに対して言葉では言い表せない自責の念を何度も感じてきた

アシスタントコーチを得た2020シーズンからは
この「自分には見えにくい想定していなかった適応」をアシスタントコーチの目を通して意識的に確認するようにしている

そうすることで自分自身の認知バイアスを修正し
自分で3つの成果を見極められるように訓練していきたいと思う

2021/06/10

速さは技術だ!

球技スポーツにおいて「プレイ速度が速いこと」はそれだけで優位性がある
だからコーチもプレイヤーも「速く!」を強調して指導あるいはプレイすることが多い

25年以上前だが、大学女子バスケットボール界で当時最も速いバスケットボールを実現していたあるベテランコーチから「速さは技術だ!」と教わった

そのコーチは
「……チームはただ速いだけだ」
「……チームは速いだけで勝ってる」
「そりゃあれだけ走らせてたらそうなるよなぁ……」
「なんてよく言われるけど」

「だったら同じ速さでプレイしてみろ(させてみろ)」
「速くプレイしようとしたら一体何が起こるか……そう言うことを言う奴は本気でトライしたことないんだろ」
って感じでサバサバしてる

「速さは体力」ではなかった

自分もコーチとして「速いプレイ」を今でも追求をしているが
どうしても「速く」は「急ぐ」とか「慌てる」になるし
「正確な判断」や「よい選択」ができなくなり「未確認」で「止められないプレイ」になったり「シュートの精度が落ちる」といったことが多発する

また、そもそも論として「速く動くこと」は「スピードが速いこと」よりも
「加速度が高いこと」って感覚なのでプラスの加速度とマイナスの加速度があるわけだから
当然「急激に加速すること」と「急激に止まること」の両方が求められる

自動車でも「最高速度を上げる」ためには「ブレーキの性能を上げること」が必須だし
「ボディーの剛性を高める」ことも急激な加速/減速に耐えるためには必要不可欠な要素

速度を上げればそれだけ自動車のドライバーには「判断の速さ」と「判断の早さ」が要求されるし
高速運転中のハンドル操作には極めて高い熟練度が求められる
急激なハンドル操作は車の不安定さを生み出し大事故を引き起こす

高速で走る中では「時間的な制限」から「すべての情報源」に視線を向けることはできないので
「必要な情報源に視線を向け」「起こった時の対処法」とセットで「起こりうる可能性を常に先取りしながら」頭は高速回転している

また高速で走る中では「物理的な制限」によって「視野は狭くなる」から余計に「選択的注意」の精度の高さが求められる

毎年毎年「速さ」を追求していくなかで
「あの速さに到達できたかな」って思える日が1日でも早くくるように
加速力と減速力/体幹/スキルの精度/選択肢の精選と優先順位づけ/選択的注意/判断基準/早さ/…
そういったものを日々磨いていきたい

そして「速さは技術だ!」って自信を持って言えるコーチに自分もなりたいと思う

2021/06/01

自分の動きを主観的に観察することと客観的に観察すること

コロナ禍で大学の授業はオンラインが多い
昨年度前期は全ての授業がオンラインだった
実技のバスケットボール授業もオンライン…

今年度はバスケットボール実技を4月から対面でやれてたが
4月25日緊急事態宣言の発出により一旦オンラインに移行こせざるを得なくなった

じゃあどうするか…となるんだが
そこは昨年度構築した「オンラインスキルテスト」実施に切り替える

毎週
①指導資料(PDFファイル)と解説映像(Youtube動画)の提示
→②提出課題の説明映像提示(Youtube動画)
(撮影方法、評価の観点と基準、提出方法)
→③各自が自分で練習
(時間と場所は様々、課題は基本的にボールを使わない動きだけのシャドウ)
→④自分の動きをスマホで動画撮影して自分で評価の観点と基準を確認
→⑤できてると判断したら提出
という流れ

ゴールデンウイーク明けから4週間のオンライン期間を経て
6月に入り感染症対策を行なった上で対面授業を再開した

まずは
オンラインスキルテスト課題を実際のコートでボールを使って実施してみた

その結果は……
「対面授業だけの時よりも動きがいい!」

結局、学生自身が動きのメカニズムとその運動経過の中にあるポイントを指導資料と解説映像から見抜き
自分の動きを映像によって客観的に自己観察したことが
動きの学習にとて効果的な機会になったということ

対面授業だと動きの良否を私が評価することが多く
私は教えたつもりになり、授業してる!って満足感はあるが
案外学生は受動的な学びになってるんだろうなと思う

オンラインスキルテストだと
学生が自分の動きに意識を向ける主観的な自己観察と
学生が自分の動きを外からみる客観的な自己観察とを
行ったり来たりすることになり
主観的な自己観察と客観的な自己観察を行ったり来たりしながら
結果的に学生は能動的な学びになるんだろうと思う

実技はオンラインよりも対面の方がいいに決まってる
でもオンラインにはオンラインの良さがあり
両方を足したら対面授業はもっと良くなる

全ての出来事は成長の機会になる!
学生にとっても教員にとっても

改めてそう思う




 

2019/11/04

その先へ進むために



忘備録

大学へ向かっていつものように自転車を漕いでいたら
ふと閃いた
雲が消えていくような感じ

2013年にストレングスファインダーをやってみてわかった自分の5つの強みの中の4つは
・内省
・分析思考
・学習欲
・達成欲
だが
この4つの強みが前意識的に「その先」を探し出そうとしていたんだ

その前意識は
右肩上がりの「階段思考」を前提に成長を考える思考の癖を創り出し
結果的に「その先」が「水平方向右上」にあるイメージで固定化されていた

しかし
「水平方向右上」へ進もうとする「階段思考」は
段階的に進んでいく思考のようにみえて
実は通り過ぎた過去を捨て去る思考でもある
結果的に積み重なりが不足し
右上に進んでいるようで実は水平方向右へ単に移動しただけになる

それは
「隣の芝が青くみえる」のと同じこと

だからこそ
5つめの強み「原点思考」を最大限に活かし

「その先」とは「水平方向右上」への移動ではなく
出発点から「上方向」への移動であると再定義し
成長を「階段思考」から「スパイラル思考」で捉える訓練が重要になる

コーチは経験を積み
沢山の失敗と幾つかの成功を重ねていく中で
「次へ」「その先へ」と進もうとする
それは誰もが持つ当たり前の成長欲求

しかし
毎年毎年入れ替わる目の前のプレーヤーにはその積み重ねがない
あくまでも一からのスタートであり
毎年毎年同じことを何度も何度も根気強く丁寧に繰り返していくしかない

そんな繰り返しを
学習欲や達成欲という強みが阻害していた
成功体験が失敗体験の基となっていた

より明確に
より鮮明に
目標の「方向性」と「水準」を設定し

より効率的に
より具体的に
進めるように「プログラム」を改善していかなければならないが

「飛び越し」たり
「一段抜かし」したりすれば
必ずそのつけは回ってくる

「できている」
「すでにやった」
と思い込んでいることも
繰り返しがなければ必ず消えて無くなっていく

さらに
螺旋で単純に「上方向」へ上がるだけでなく
「上方向」へと登りながら螺旋の「直径が広がっていく」イメージを持ちたい

それは
「プログラム」の効率化と精緻化による広がりであり
・単位時間当たりにこなせる量
・細部へのこだわりの質
両面での広がり

それが「その先」の正体なんだろう

こんなことは当たり前のことなんだろうけれども
雲間から現れた陽の光をみながら
今まで言葉にならなかったことが
明確に言葉になった

今日からまた新たな「その先」へ進もう

2018/12/16

自ら動くプレイヤーを育てるために必要なこと

2018シーズンが終了した
「準備すれば戦える相手」と設定して臨んだ最終戦
まだまだこのチームにも自分自身にも伸び代が沢山あることがわかった

でも最後は本当にいいチームになった
学生たちが「自ら動く」チームになった


いつも大学のコーチング論やバスケットボールの指導者育成の講義で伝えていることがある

それは
コーチはみんな
外発的動機付け(やらされて動く)よりも内発的動機付け(自ら動く)の方がいいことを頭では理解している
そして内発的動機付けで動くプレイヤーになって欲しいと願ってもいる
ということ

絵にするとこんな感じ


でも現実にはそうならないから
アメとムチを使う外発的動機付けによってプレーヤーを操作する結果になってしまうことの方が圧倒的に多い

それがコーチングの現実
バイオレンスを伴った指導もこの矛盾の延長線上

23歳でコーチングに関わり始めた自分も例外ではなかった
頭では内発的にやって欲しいと思いながらも
自分の言葉や行動や態度は
プレイヤーを外発的にコントロールする方法になってしまっていた
内発的にと強く思えば思うほど
結果的にはより強く外発的にコントロールするか
もしくは放任になるかの両極端をいったりきたり……

ずっとそうだった


ではどうしたらいいのか?


この数年ずっと考えていた
外発的動機づけと内発的動機づけの「違い」については30年前に大学で教わったが
どうやったら内発的になるのかという「方法論」については誰も教えてくれなかった
聞いてなかっただけかもしれないけど……

とにかく
わからなかった

だから
コーチングの理想や理念と現実との狭間でずっと悩んでもいた

そんな中で出会ったのが
「プレイヤーの3つの基本的心理欲求を満たすことができれば内発的動機付けは高まる」
という考え方


それは
コーチがプレイヤーの
 有能さ(competence)
 自律感(Autonomy)
 関係性(Relatedness)
を満たす言葉と態度をとるというもの

難しいことではない
「できることを増やしていくこと」
「自分で決めていい権限や機会を与えること」
「なんでも本当のことを話せる関係でいること」
を心がければいいだけだった

そうしているうちに
チームは本当に明るくなった

それにはプレイヤーが本来持っている個性もあるんだと思う
それが単に表に出てきただけなんだろう

でも
抜けてたパーツが埋まった感じはする

そしたら
この3つはコーチング学で言われている「コーチが育てたい4C」
とほぼ同じものだった
いろんなものが繋がった


やっぱり
暗いよりは明るい方がいい
しかめっ面をして苦しんで修行や苦行のようにスポーツするよりは
思いっきり目を輝かせて自分を出し切ってスポーツした方がいい
それはいい意味でちゃんと訓練になっている

日本のスポーツ指導は変わらなければいけない
そう言われている
それでもバイオレンスを伴った指導は無くなっていない

それは
どこかでバイオレンスを
「必要悪」と捉えている部分があるから

「勝つためには……」
「厳しさのためには……」

成長の先にある勝利を目指すこと
明るさの先にある勝利を目指すこと

また2019シーズンの挑戦が始まる

2018/11/12

大学バスケットボールのリーグ改革案覚書 その1

大学バスケットボール界に共創と競争の文化を創出するための覚書
創造的・建設的な意見がある方は是非教えてください!

1)地区学連の再編
 (1)1部,2部,3部……の構成と入替戦方式を廃止する
 (2)活動条件によってDivision Ⅰ,Division Ⅱ,Division Ⅲへ再編する
 (3)Division Ⅰ の Conference は6〜12校程度で構成
 (4)超える場合は2つのCanferenceに分ける
 (4)Conferense の中で2巡〜3巡のリーグ戦を実施する
   (春リーグ(1巡)と秋リーグ(2巡)の合算も可能)
 (5)現行のインカレをDivision Ⅰ のChampionshipに置き換える
 (6)Division Ⅱ 以下のChampionshipを創設する

 Division Ⅰ 加入の条件
 (1)大学が大学スポーツ協会(UNIVAS)へ加盟している
 (2)大学にスポーツ統括組織を設置している
 (3)専任のアスレティックディレクターを配置している
 (4)スポーツ推薦入試制度を有している
 (5)スポーツ奨学金制度を有している
 (6)専門の指導者を配置している
 (7)毎日使用できる練習施設環境が整っている
 (8)学業成績による競技活動制限の制度が整っている
 (9)通常学期内における練習時間制限の制度が整っている
 (10)大学でホーム&アウェイのゲーム開催が実施できる
 (11)大学が Division Ⅰ への加入を認めている
 (12)UNIVASのルールに抵触した場合は活動制限する制度が整っている
※国公立大学の場合は別にDivision Ⅰ 加盟の可否を審議する

2)全日本学生選手権(インカレ)を現行の32から48または56へ増やす
 (1)財源を確保する(スポンサー獲得)
 (2)日程と会場を確保する(7日間)
 (3)各地区学連のDivision Ⅰ の Conferense に基本枠数を割り振る
 (4)前年度ベスト4の地区と開催地区に従来通りの枠数を割り振る
 (5)西日本と東日本の優勝・準優勝の地区に枠数を割り振る
 (6)記者が投票により決定するワイルドカードを1枠設定する

 48と56のトーナメント表
 
 地区学連の登録状況と按分数
 

3)結果的に生み出したい文化
 (1)リクルート環境や練習環境をできるだけ同じ条件に近づけていく
 (2)同一Conferenceは競争相手であり枠数を獲得する仲間でもある
 (3)支援を表明し制度を整えた大学はDivision Ⅰ への加入が可能である
 (4)文武両道の気風を定着させる
 (5)リーグの活性化が強化である
 (6)魅力のあるConferenceを自分たちで創出していく

2018/10/31

チームの成長も4段階

2018年6月9日の『対戦相手は4段階』で相手の段階について書いたが

勝ち方というかチームの成長にも4つの段階があるんだろうなって思うような出来事がこの一週間で自分の周りに何度か起こった

1:必死にやっても勝てない段階
2:気がついたら勝ってた段階
3:勝ちにいって勝つ段階
4:負けない段階

あれでもかこれでもかと試行錯誤を何度も何度も繰り返しながら挑戦する1の段階の先に突然訪れる2の段階

その瞬間は、富士講の和歌にある
「富士の山 登りてみれば何もなし 良きも悪しきも我が心なり」
の心境なんだろうと思う

「そこにはきっと何かがある」
と思って登ってきてた先にあるものは……
昨日と変わらないありふれた日常と
自分自身の心の中に生まれた達成感のみ

でも「自分はそこに到達したんだ」という思いこそが最も大切なものであり
それこそが競技スポーツによって得られる最高の財産なんだと思う
結果に対する他者の評価なんかはどうでもいいこと

2の段階の後にくる3の段階は「勝ち続けること」への挑戦
「勝つこと」よりも「勝ち続ける」ことの方がはるかに難しい
敗者は勝者を研究するから

でもその勝ち続けることへの挑戦は
1の段階の試行錯誤をどれだけ真剣に繰り返したかによって大きく変わる

負ける経験は「ダメな経験」や「時間の無駄」なんかじゃなく
「こうすれば負ける」ってことがわかる経験

「負けに不思議の負けなし」と言われる通り
「負けることで得られる反省点と次への課題」をどれだけ忘れずに改善し続け挑み続けることができるか

それが突然の2の段階を連れてきてくれるかどうかの境目だろうし
3の段階から4の段階へ上がる「常勝」を創り出すんだろうと思う

2018/10/22

ベンチワークメモ

試合期にはいつも見直すメモ
試合後の反省もあって少しずつバージョンアップしてきたもの
このあいだ応援に駆けつけてくれた卒業生と試合前に見ていたこのメモの話になり
「それください!」って言われたのでアップしてみました

コーチによって試合への臨み方はひとそれぞれ
100人コーチがいたら試合への臨み方も100通りなんだと思う

完成なんてないし
正解なんてものもない

でも
自分の型をもって試合に臨むのは大事なことなんだと思う

試合後に「あれが抜けてた……」とか「あれやっとけば……」とか
試合が終わってから絶対に後悔しないために
また
試合前の緊張を少しでも和らげて「今その瞬間」に意識を留めるために

本に書いてあったもの,自分の体験からのもの,人に教わったもの………
いろんなものが詰まった今となっては,何をどこから得たものかなんてわからなくなってるけど
試合前に見直してるうちに心が静かになっていくもの

2010年10月22日現在
---------------------------------------------------
試合前日について
  • あれこれ考えて夜遅くなるよりも睡眠時間を確実にとってスッキリゲームに臨む
  • 全員が「エネルギー満タン」で試合会場に来ることを求める
試合当日について
  • 試合開始前までに相手の情報に必ず目を通し記憶に残す
    • プレイタイムの前半→後半の目安を考えておく
  • 試合開始前までにベンチワークメモに目を通しキーワードを確認する
  • 試合前に必ず全身のストレッチを行って全身の神経を刺激して脳の働きが良くなる工夫をする
  • 試合前に血糖値を上げる
試合前ミーティングについて
  • w-up前に短時間ミーティングを実施する
    • ハーフタイムでの練習後よりもウォーミングアップを開始する前の方がよい
    • 追加情報があればハーフタイム後に伝えることもあり
  • ELM treeを必ずその試合ごとに伝える
    • どんな努力に焦点を当てるか(Effort)
    • どんな成長に焦点を当てるか(Learning)
    • どんな失敗からの立ち直りに焦点をあてる(Mistake)
         を明確に伝えることで「自分にコントロールできること」への集中度を高め「結果への不安を最小化する」
  • emotional tankを満たす言葉がけをする
  • どんな勝ち方をする?
  • 自己制御スタイルを❶に整える!
   ❶ミスを恐れず,自身における最大限のパフォーマンスを目指す(獲得への接近)遂行:促進焦点
    「〇〇できたら△△することができる」
     ❷ミスを減らし,安全な遂行を心が得る(損失の回避)遂行:防止焦点
    「〇〇できなかったら△△できない」

タイムアウトについて
  • サンドイッチの原則
  • 最大で3つの情報とする
    • 試合中、選手は理解できない。科学的にも、運動中で披露している選手が覚えられる新しい情報は3つが限界というデータも出ている。もし、あれもこれもと、例えば8つも新しい情報を伝えているとする。きっと、そのタイムアウトは意味をなさないだろう。
  • 最も重要な項目を最後に伝える
  • タイムアウトの時間配分は、下記をベースに考える
    • 10秒:休息
    • 40秒:情報伝達(サンドイッチの法則を活用)
    • 10秒:ハドルの時間、選手同士でのコミュニケーション
  • とにかくシンプルに。KISSの法則
    • Keep it simple,stupid(馬鹿でも分かるようにシンプルに!)

ハーフタイムミーティングについて
  • 選手だけの時間を与える(ロッカールームであれば、入室時間を調整する)
    • HC=Box scoreの確認が先
      • 得点, プレイタイム,3point, rebound, foul
  • サンドイッチの法則
    • 良いこと、指摘・改善点、良いこと、という順番で伝える
    • 選手に聞く耳を持たせることが大切
  • 最も重大なオフェンスの問題を伝える
  • 最も重大なディフェンスの問題を伝える
  • 解決策にフォーカスすること

試合後ミーティングについて
  • ELM treeの評価をする
    • どんな努力が成果につながったか
    • どんな成長がみられたか
    • どんな失敗からの立ち直りが見られたか
  • 敗戦後にemotional tankが空っぽにならないように気をつける
    • スコアボードに対する評価だけで終わらずに
    • ELMの評価を中心に行う→次へ向けてのELMのポイントも伝えていく
    • 反省じゃなくて整理
  • 試合後の3つの質問
    • 今日良かったことは何か?
    • 次に同じ状況があったらどうするか?
    • そのためにどんな準備をするか?
  • リカバリーを確実に行わせる
  • 「今の試合の振り返り」よりも「次の対戦相手の観察」を優先させる

ベンチの在り方に関して
  • 選手をいかに集中させるか,いかにいい感じでプレーさせるか,いかに乗せるか
  • コートに送り出す際の短いkey wordを試合に至るまでの練習で作り上げておく
  • スターティングファイブの紹介はセンターサークルへ向かって斜めに両側から花道を作って送りだす
  • Good shot, Dive, Transition layupにはスタンディングオベーション
  • 交代でコートに入るプレイヤーをコート内の主力がハイタッチで受け入れる
  • 交代選手はベンチプレイヤー全員が立ってハイタッチで受け入れる
  • タイムアウト明けはチーム全員のエールで勢いを出す
  • ベンチ内で誰が・何を伝えるかということについてチームでの原則が必要
    • 練習中から「◯◯」の責任者を明確にして試合中もその観察に責任を持たせる
  • アシスタントコーチに対して通常から伝えたいことを明確に示しておきベンチでフィードバックさせる
  • アシスタントコーチもしくは学生コーチにサイドコーチングで徹底して声を出させる
  • タイムアウトはベンチの主力が迎えに出てタッチで返す

試合前の情報のインプットについて
  • 試合開始までの情報を再確認しておく
    • 必要であればメモを手元に持っておく

試合中のプレイ観察について
  • 毎回の攻防を「経過」から全て見抜くように観る
    • 「結果」としてのTOやMissしか見えなくなることを防ぐため
    • 具体的な指示を出すため
    • 多くの場合,起こった目に見える結果の前に,目に見えない原因が隠れている
    • 毎回のオフェンスを「実況中継」しながら見る訓練を日常的に行いモデルとの違和感を見抜く観察力を養う
  • うまくいっていない状況の時に「仮説を持って試合を眺める」習慣をつける
    • オフェンスもディフェンスも同じ
    • 機能していないとういことは………ここがおかしいはず
    • こうすればうまく機能しはじめるはず
    • →仮説が正しいと数回の観察で見抜いてから指示を出せるようにする
      このkey wordが練習やそれまでの試合の中で作れていることがベスト
  • 間接視野で5人の動き全体を把握しながら観る
    • 焦点となる1on1や2on2に焦点を絞りフォーカスしすぎると
    • →残りのプレイヤーの配置が見え無くなりヘルプサイドに対する指示が出せない
  • 「攻撃の柱」が機能しているかを常に観察しておく
  • 「失敗からの立ち直り」ができているかを常に観察しておく
  • コーチが「声を出しすぎる」とかえってゲームが見れなくなる場合があることを注意しながら,「演じる時」と「眺める時」のメリハリをつけていく

起用に関して
  • 公平さを確保する(ゲーム中は期待より成果)
    • 中心的プレーヤーでも集中力が低い場合は一旦下げて集中させる
    • 審判や相手のラフプレーに対して心が乱れた場合は一旦下げるか,コート上で修正させるかどちらか見分ける
  • ゲームプランにあるプレイヤーは前半に出しておく
    • 1periodで2名〜3名
    • 2periodで残ったメンバー
  • ゲームのリズムを保つためにメンバーチェンジは原則2名まで
  • 2nd unit はディフェンスのエネルギー量の大きさを求める(ディフェンスの変化も要求)
  • リーグ戦の1日目と2日目は疲労度が違ってくる場合がある
    • 1日目を タフに戦った2日目は「脚にきている」ことを考慮して声かけ,メンバーチェンジを行う
  • 攻撃の柱が明確になるようにメンバー構成を考える
    • スコアラー, リバウンダー, スクリナー, パッサー
    • 全員がスコアラーである必要はない
    • インサイドで戦える2名を確実に入れておく
    • リバウンダーの機能を高めるプレーヤーを必ず指名しておく
    • 全員がアウトサイドになると結果的に攻撃できなくなる
    • 基本的にスターティングメンバーを最低2名は残してメンバー構成を考える(勝敗が決した後は別)
    • PGに不安がある場合は,GをサポートできるFもしくはCを必ず配置しておく
    • →そうなるように練習で作っておく
  • ランニングスコアシートが「空白」になっているプレイヤーは消極的になっている可能性が高いので交代させる
  • シュートを2本連続して落としてその間にプラスの貢献度のプレイが入らない場合には基本的には一旦交代させる
  • コート内に常にエネルギー量の大きいプレイヤーを二人は配置すること
  • 1番と2番、3番と4番、のユーティリティーを年間を通して作っておくこと
  • 悪い場面で悪いプレーヤーを交代させて指示を与え,再びコートに立たせる
    • 帰ってきたプレーヤーへの具体的な指示
    • ネガティブメンバーチェンジにしない
    • 問題発生後直ぐに一旦交代させて指示をだして再び機会を与える→これを逃すと、ダメージが大きくなって次に出せないか、うまくいったりいかなかったりで結局問題が解決しないまま時間が経過してしまい、次に出す機会を与えられなくなってしまう
    • 切り替えの言葉を伝える
  • ゲームの最後の場面で、一番練習している状態になるようにする
    • 日常的な練習でメンバー構成と場面を確認する
    • プレイタイムを週明けに想定して練習をしておく(タフなゲームを設定したメバー構成)
  • 接戦の最後の場面は、プレッシャーリリースに強い者を起用する
    • 相手のプレスがファール狙い・ギャンブル狙いでくるのに負けない強さ
    • ポジションのバランスを崩してでも弱いメンバーを外す
    • 勝ちゲームのラストは相手のプレスディフェンス
    • →練習ではpressure releaseを練習させておくことが大切
       (その時のメンバーを想定して対戦相手の予想されるpressureをreleaseさせておく)
  • 後半の失速を防ぐために
    • 前半と3ピリオドまでのメンバー交代で体力温存
    • 最もやられている部分への明確な指示と手当
    • メンバー構成を間違わない
    • ネガティブメンバーチェンジ→ポジティブメンバーチェンジに変えていく
  • 1年生のデビュー戦は勝ちゲームにする
  • キーマンを休ませる時間帯はディフェンスを強くするメンバー構成にする
    • 基本的に一人だけ変える
    • ピリオドの2分を効果的に使って休ませる(これにタイムアウトが加わればさらに休める)
戦術・戦略について
  • ゲームの核となるチームとしてのplayを確実に決めて優先順位を具体的に指示する
    • post, cut, drive, screen
    • who, where, how, what
    • これを任せて自由にゲームを始めるとTime outで修正できない
  • オフェンスの多様な狙いを練習段階で指導しておき
  • →ゲーム中は「key word」で短く焦点を当てるようなイメージに作り上げておく
    • 練習している場面がゲームで現れた時は必ず「それだ」の声をかける
    • シーズン中に修正してきた場面を言葉にしながら対応策の引き出しを作っていく
  • Time outで相手のオフェンスを止める具体的な指示を出す
    • 3P? 2P? Drive? etc   これらを明確に「●●しろ」で伝える
    • 「原則を言うか」⇄「アジャストを言うか」
  • 相手の攻撃(特にscreen)に対する対応をどれでいくか?
  • →前半に試す勇気を持つ(これをプレヤーに預けずにチームで明確に仮説を立ててやってみる)
     ダメでも↓
      ハーフタイムの時間で考えられる
      残り20分の戦いがある
  • オフェンスの何か一つの形に囚われて、相手のディフェンスがいなくなってしまう状態になることを防ぐ
    • どう始めるか、どう継続するか、どう連動するかの仕掛けを作る
    • プレイヤーの攻撃する「感性」の邪魔をしない
  • 自分たちが使っているスクリーンに対する相手の対応を確実に観察しておき、不具合が起こった時に見抜く
    • 日常的な練習の中で、自分達のディフェンス対応だけでなく、想定される対応を訓練しておく
  • 受けに回って消極性が見えたら、その部分は具体的な指示を出して守りで仕掛けて自分達の積極性を出すようにする
  • 相手のmainガードがrestの時は積極的にfull court press(zone pressがあればbest)を仕掛ける

レフリーの判定について
  • レフリーへの攻撃的な批判は結果的に自チームへのマイナスになることを理解する
  • 見てほしい場所は「つぶやく」「お願いする」
  • 流れに乗って瞬間的にボールの所有権を引き込む

目に見える問題に対応することと目に見えない問題に対応すること

問題解決型思考では 目標を明確に設定し 現状を正確に評価したら 問題は眼前に立ち現れてくる と表現する なので問題は「目標値と現在値との差」と定義することができる ということは 問題には ①「あるべき状態を達成しようと取り組んだが悪い結果になってしまった問題」 ②「あるべき状態を...